ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
見渡す限りの銀世界。私たちの住むここ北海道十勝地方は、今あたり一面雪で覆われています。雪が降ると、除雪が大変だったり、車の運転が怖くなりますが、時折、自然のつくりだす美しさに目を奪われてしまうことがあります。雪粒が樹木にふきつけられて凍ったものを樹氷と言いますが、この美しさは圧巻です。『おかしなゆき ふしぎなこおり』では、自然の力だけで出来上がった見事な造形美を迫力ある写真で紹介してくれます。冬の日、外へ出かけてみると雪と氷のおかしな形があちこちに見つかります。冷たい空気と水がつくるふしぎな世界―。雪国ならではの美しくもおかしな景色を味わうことができます。小さな頃から雪や氷が好きで、世界中をまわりながら雪や氷を撮影している写真家・片平孝さんの写真絵本です。なるほど!!
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北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現。日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起こりました。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのです。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。『羆嵐』は、自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにした実話を素にした一冊です。熊を仕留めたあとに空が荒れて強い風が吹き荒れるという。この天候の急変を「熊風」というそうです。
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今年も初雪が降り冬本番を迎えていますが、世界には普通の日本人では経験できないような冬の生活があります。今回はそのような厳しい環境で過ごした日本人の体験記3冊です。北極にある氷の島、グリーンランドに住む日本人の暮らしを描いた『地球最北に生きる日本人 イヌイット大島育雄との旅』。民族学調査のためグリーンランドを訪れた大島さんが、そのまま移り住み、狩猟生活をしながら暮らす様子を新聞カメラマンが取材した一冊です。イヌイットと言われる先住民族が住む村は人口80人に対し、犬が200匹ほど、犬ぞりで移動しながらセイウチなどの狩猟をして生活しています。しかし、地球温暖化により氷が融けて犬ぞりが使える範囲が狭くなり、人々の暮らしが変わっていく、取材を通してそのような問題も投げかけています。
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