ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
立春も過ぎ、徐々に春の気配を感じてきていますが、十勝の大地はまだまだ真っ白な雪景色です。でも、十勝の雪景色の季節は残り少ないはず・・・。真っ白な景色に少しだけ思いを馳せたいと思います。一面真っ白な世界と言えば北極と南極。『北極シロクマ 南極ペンギン』は、北極にいて南極にはいないシロクマと、南極にいて北極にはいないペンギンの生態が詰まった写真集です。安心しきってお腹を出して休むシロクマ。お団子のようにくっ付いてこちらを見る3頭のシロクマ。荒波にじっと耐えるペンギン。ジャンプするペンギンの背景は白と青だけの世界。どうしたらこんな写真を撮ることができるのでしょうか?冷たい雪と氷の世界に生きる彼らの健気な姿に心はほっこりしてきます。
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「だるまちゃんとてんぐちゃん」シリーズや、「どろぼうがっこう」など、数々の人気絵本を世に送り出してきた加古里子さんの自伝的エッセイ『未来のだるまちゃんへ』。敗戦を機に、残りの人生をこどもたちのために役に立ちたいと考えた加古さん。セツルメント(今でいうボランティア活動)で、大切なことはすべてこどもたちから教わったと言います。これからを生きるこどもたちには、自分で考え、自分の力で判断する賢さを持ってほしいとエールを贈り、今の社会に対しては、同じ間違いを繰り返すことがないようにと警笛を鳴らしています。心に留めておきたい言葉であふれているこの本。何度も読み返したいと思います。
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『パパの電話を待ちながら』は、出張が続くパパがなかなか会えない娘に、毎晩電話でお話を聞かせる、という設定です。電話で話すので、とても短い56話の短編集。そのどれもが不思議にあふれていて、突拍子もなくて、意味が分からなかったりするのですが、言葉遊びや平和に対する祈りのようなものを感じます。特に「ひとりだけど七人」では、ひとりの男の子と知り合いますが、ひとりの男の子は七人。大人になっても戦争が出来ない。だって、七人はみんな、ひとりの人間だから。と語っています。
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