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北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現。日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起こりました。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのです。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。『羆嵐』は、自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにした実話を素にした一冊です。熊を仕留めたあとに空が荒れて強い風が吹き荒れるという。この天候の急変を「熊風」というそうです。
昭和16年12月8日、日本海軍の機動部隊がハワイ・オアフ島にあるアメリカ太平洋艦隊を急襲しました。真珠湾攻撃です。太平洋戦争の幕開けとなりました。『日本人はなぜ戦争へと向かったのか戦中編』では、兵士と民間人を合わせて310万人もの死をもたらした戦争を始めた指導者たちの歴史舞台をひも解いています。
時は元禄15年12月14日、吉良邸へ討ち入り。忠臣蔵といえば、赤穂浪士の討ち入りのことを指しますが、江戸時代は歌舞伎・浄瑠璃で上演される「仮名手本忠臣蔵」のことをいいました。主君浅野内匠頭の敵を討った大石内蔵助をはじめとする家来四十七人を「忠臣」と受けとめたことにはじまります。『江戸っ子が惚れた忠臣蔵』は、赤穂事件と忠臣蔵の実像と虚像を明らかにする一冊です。 MCL編集部 （敬昌）
三冊堂170号 (2014/12/18)
