今年も初雪が降り冬本番を迎えていますが、世界には普通の日本人では経験できないような冬の生活があります。今回はそのような厳しい環境で過ごした日本人の体験記3冊です。北極にある氷の島、グリーンランドに住む日本人の暮らしを描いた『地球最北に生きる日本人 イヌイット大島育雄との旅』。民族学調査のためグリーンランドを訪れた大島さんが、そのまま移り住み、狩猟生活をしながら暮らす様子を新聞カメラマンが取材した一冊です。イヌイットと言われる先住民族が住む村は人口80人に対し、犬が200匹ほど、犬ぞりで移動しながらセイウチなどの狩猟をして生活しています。しかし、地球温暖化により氷が融けて犬ぞりが使える範囲が狭くなり、人々の暮らしが変わっていく、取材を通してそのような問題も投げかけています。
北極があれば次は南極ということで、日本の南極観測事業に参加した女性の南極基地での生活ぶりがわかる『南極に暮らす 日本女性初の越冬体験』。南極といえば一年中氷と雪に覆われた極寒の厳しい世界を連想しますが、基地での生活環境は以外と快適な様子。それでも1年以上、隔絶された世界で生活するために自分の部屋に何を持ち込んでおけばいいのか、電化製品、趣味のもの、好きな食べ物等、そんな悩みから実際の日常生活までを2人の著者がそれぞれの視点で紹介しています。
冬のヒマラヤ山中でキャンプ生活を送った日本人が記述した『雪男は向こうからやって来た』。元新聞記者だった著者に突然かかってきた電話、その内容は「イエティを探しにいってくれないか」。雪男の存在など信じていなかった著者はヒマラヤ生活を送る中で考えが変わっていきます。固定カメラに写る不思議な影や二足歩行したと思われる動物の足跡、そして最終的に出した結論とは…。 MCL編集部 (ちか)
三冊堂169号 (2014/12/11)