
ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
不条理小説の最高傑作とも呼べるカフカの『変身』。販売員として働いていた男が、朝目を覚ましたら巨大な虫に変身していた、という衝撃的な始まりですが、その後は虫となった彼の暮らしや世話を焼く家族、そしてその生活の終焉が淡々と描かれます。途中までは姿が変化しても家族の一員として扱われていたはずが、段々一家にとって負担となる存在として扱われていくグレーゴル。虫になった理由が最後まで一切明かされないのもまたモヤモヤしますが、グレーゴルも家族側もそれぞれに共感出来る部分があるのが、この本のすごいところ。
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闘牛士、侍女、宮廷音楽家、牛飼い、道化、大工に修道女…。『名画の中で働く人々:「仕事」で学ぶ西洋史』は、絵画に描かれた「仕事」に注目して、ドイツ文学者でもある著者が西洋史を解説しています。「道化」を紹介するページの項目タイトルは「舞台でおどけて、楽屋で泣いて」。まさにその通り(なのかも…)、と思わせる絵画が、アメリカ人画家のエドワード・ホッパーの作品『青の宵』(1914年)です。店内で座って酒を飲む数人の客に混ざって中央に座っているのが、白塗りで衣装のまま煙草をくわえたピエロ(道化)。仕事を終え、くたびれた姿で一息ついているのでしょうか?美しい造形美の魅力だけではない、想像を膨らませる美術の面白さも味わえます。
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満月の夜に気まぐれに現れる満月珈琲店。三毛猫マスターが星や銀河を基にしたメニューを作ってくれます。三日月のカレーや、氷山のアイスコーヒー、遺跡のシュガーラスクなど『世界を巡る満月珈琲店』をテーマに17種類のメニューを掲載。幻想的な料理の数々は見ているだけでも楽しめます。
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