ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
情緒障害児を教えるトリイの教室に来た6歳の無言症の少女シーラ。垢で黒ずんだ顔に敵意むきだしの目をしたその子と辛抱強く接していくうちに、彼女が知的障害児どころか、ずばぬけた知能の持ち主であり心身に虐待による深い傷を負っていることがわかります。『シーラという子』は、トリイの献身的な対応で固く閉ざされた心をおそるおそる開いていくシーラの姿の置かれた状況に怒りを覚えながら読み進めることになるかと思います。これがノンフィクションだなんて…。
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贅沢好きのダンフミサンと、自称貧乏性のアガワサン。相反する二人が、美味しいものを巡って、東へ西へと突き進む「太ったんでないのッ!?」。各地で見つけた絶品グルメをネタに飛び出す毒づきあいが絶妙。その毒舌ぶりときたら、「飢えた子豚のごとくガツガツと召し上がるアガワ」「目の前においしい餌をぶら下げればいくらでも働くダンフミ」などと互いに言い合うほど。ふたりのセンスの良いユーモアを織り交ぜた文体と美味しそうな食べ物に思わずお腹を抱えこんでしまうグルメなエッセイ。是非、ご賞味あれ。
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科学にまつわる話をショート・ショート形式で綴る『科学歳時記一日一話』。1811年の5月15日は、同温、同圧、同体積の気体は、気体の種類によらず同数の分子を含むとする「アヴォガドロの法則」が発見された日で、科学や物質科学の基礎をなすそれが注目されたのは、アヴォガドロの亡き後なのだそう。幅広い分野からピックアップされたショートストーリーは、短いながらも探求心をくすぐります。
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