ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
読むものに飢えた経験がある人は、本を大事にする。平和な時代だけを過ごした人は、平和を粗末にする。この二つ、どこか通じるものがありそうです。
『華氏451度』(≒摂氏233度)は、紙が燃え始める温度。1953年に書かれたSF小説で、本を持つことが禁止され、人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビで情報を与えられる社会を舞台にしていて、1966年にフランソワ・トリュフォーによって映画化もされています。ブラッドベリは後に、「この作品で描いたのは国家の検閲ではなく、テレビによる文化の破壊」と述べています。大宅壮一がラジオやテレビの影響を予測し、「一億総白痴化」と評したのは1957年のことでした。
- 詳細
- 作成者:MCL編集部
昭和30年から40年にかけて切手ブームが起こり、切手を収集することは「趣味の王様」とまで呼ばれました。「小さなキャンバスのなかに広がる豊かな芸術」と紹介されるように、それ専門のデザイナーによるデザインと、熟練された彫刻の技術を持つ匠の技によって作られる切手は、なるほど手元で楽しめる名画鑑賞なのかもしれません。浮世絵も仏像画も昆虫の絵も、どれも味わい深いです。東京オリンピックではオリジナルの切手が発行されることでしょう。『切手 NHK美の壷』
- 詳細
- 作成者:MCL編集部
あとがきで著者は「第2次世界大戦中、兵役で栃木県佐野に駐屯していたとき、軒下などで遊んでいる子供たちを見たとき、自分がこの子らの将来のために死ぬなら多少の意味があると思ったが、そのおろかさに気づいた。このあたりが戦場になれば、まず死ぬのは兵士よりもこの子らなのである。終戦の放送をきいたあと、なんとおろかな国にうまれたことかとおもった。(むかしは、そうでなかったのではないか)。ここから江戸期や明治時代のことを考え出し、小説を書き出した。」と書いてます。まさに『この国のかたち』、日本が歩んできた“いま”を歴史をひも解いて独自の方法で日本思想史を語った一冊です。著者が急死するまで「月間文藝春秋」に連載していた歴史エッセイ。全6巻刊行されています。
- 詳細
- 作成者:MCL編集部