ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
今回ご紹介する3冊はいずれも小学校高学年~中高生をターゲットに発売されたいわゆる「YA」小説です。が、そうとは思えない衝撃の展開や重いテーマで大人の方でも十分読み応えのある作品だと思います。1冊目は『ひとりじゃないよ』。等身大の中学生たちの悩みや恋を描いた「泣いちゃいそうだよ」シリーズの第4弾である本作ではシリーズ史上最大の事件が起きてしまいます。晴れて大好きな広瀬くんと同じ高校に合格した凛は中学最後の春休みを満喫中。そんなある日、部活の後輩である静音から電話が。静音は何だか悩みがあるようですが、凛は広瀬くんとの約束に気を取られて有耶無耶にしてしまいます…家族や友だちなどの問題と真正面から向き合ってきた「泣いちゃい」シリーズ迫真の命の物語です。
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「私がオバさんになっても」が大ヒットした歌手の森高千里はミニスカで可愛く振る舞いながら媚びなかった。「いつも心に森高を」がモットーの1968年生まれのイケイケバブル女と、「ゆとり世代」のちょっと上世代の不景気なアラサー。2人の共通点は婚活中の独身OLであること。お互い相手にイライラするのはどうして?『オバさんになっても抱きしめたい』は、そんな2人の静かなバトルがおかしいやら切ないやら。
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ソフィーの大切な植物の図鑑がこわれてしまいます。壊れた本はどこへ持っていけばいいんだろう?と、途方に暮れるソフィーに、町の人たちは『ルリユールおじさん』のところへ持って行けばいいと教えてくれます。「ルリユール」とは、製本職人のこと。ソフィーの大切な図鑑がルリユールおじさんの木のこぶのような手によって、修復されていく工程が、見事なまでに丁寧に美しく描かれています。パリでも、60ものある工程をすべて手仕事でできる職人は、数えるほどになってしまったそう。修復された図鑑は、最後に金箔のタイトルが施され、ため息がでそうなほどに美しく生まれ変わりました。ソフィーのように、大好きな書物を大切にする心と、ルリユールの魔法の手が、書物に息を吹き返らせたのです。
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