パリの名所が丁寧に描かれているこの絵本。『げんきなマドレーヌ』 パリの寄宿舎にくらす先生のミス・クラベルと12人の女の子たち。その中でも1番おちびさんのマドレーヌが、ある晩、盲腸炎にかかり入院してしまいます。女の子たちがお見舞いに行くと、病室はお見舞いの品でいっぱい。おまけに、手術のキズを誇らしげに見せるマドレーヌ。羨ましがる女の子達が、その晩、どうしたかというと・・・。子どもの気持ちをとてもうまく表現している絵本です。何事にも驚かないはずのミス・クラベルが流れるような動きをする場面にご注目。
『長くつ下のピッピ』 ある日、突然ピッピが自分の家のお隣に引っ越してきたら・・・。想像しただけで、ワクワクしてきます。ピッピは、小さなサルと馬を1頭飼い、学校へも行かず、ごたごた荘でひとりで暮らしています。馬や牛を軽々と持ち上げ、いじめっこや泥棒も、あっという間にやっつけてしまう世界一強い女の子。自由奔放で、型破りだけど、心はとってもあたたかい。ピッピの物語は、痛快で奇想天外。ピッピのすることから目が離せなくなります。子どもの頃、何度も読んだ大好きな本です。
日本各地に伝わる女の子(おねえさん、おばあさんも含む)が活躍する昔話20話。『女の子の昔話』 昔話の多くは、江戸時代にほぼ現在の姿にまとまったと考えられているそうです。「ももたろう」「いっすんぼうし」をはじめとする、男性が活躍する昔話は、数多く知られていますが、女性が主人公となって活躍するお話は、あまり目立ちません。しかし、この本の中で紹介されている女の子たちは、かしこく、おおらかで、たくましく、自分の力で人生をきりひらいていきます。「語りつがれてきたままを尊重し、耳で聞いてここちよい文章になるよう、こころがけました」と中脇さんが述べているように、声に出して子どもたちに語りたい面白い昔話ばかりです。 (ふ)
三冊堂126号 (2014/01/30)