2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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 北海道の短い夏も最盛期。屋根の上で夕涼みをしたらいつもの風景が違って見えるかもしれませんね。雨漏りする屋根の修理に来た工務店の男、長瀬によると、トレーニングによって誰でも自在に夢を見ることができるという。九州訛りの朴訥な長瀬の誘いに乗って、中年主婦の「私」は、夢のなかの旅に一緒に出かけます。夢のなかでは、法隆寺の五重塔をめざして屋根を飛び、フランスのノートルダム寺院前のレストランで食事をします。『屋根屋』は、自在に夢が見えたらと願うあなたを不思議なファンタジーの世界へ案内してくれます。

  『さがしてみよう日本のかたち㊀ 寺』は「屋根屋」で「私」と長瀬が夢で旅した法隆寺の五重塔を始めとした日本のお寺の造形美が豊富な写真で紹介されています。法隆寺の屋根の頂点などにおかれた鬼瓦の鬼面は怖いというより滑稽な面構えです。金堂の軒下の風鐸や夢殿の屋根の頂部にのる宝珠にも見入ってしまいます。誠照寺四脚門(福井)の「駆け出しの龍」と呼ばれる木鼻の彫刻はとっても迫力が。寺の屋根は大きくて丸くたわんでいなければならないのだとか。

 もっと高く、もっと大きく、もっと壮麗にと12世紀から13世紀にかけて、競うように花開いたフランスのゴシック建築の大聖堂の数々。アミアン、シャルトル、ランスなど壮大かつ華麗な大聖堂のゴシック建築を、さまざまな角度から写した写真と解説で案内してくれるのが『フランス ゴシックを仰ぐ旅』。ゴシック大聖堂はステンドグラスも素晴らしいですが、その神髄を味わいたいのなら、ぜひとも屋上にのぼってみるべきだそうです。 MCL編集部 (紀)

三冊堂151号 (2014/08/07)