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贅沢好きのダンフミサンと、自称貧乏性のアガワサン。相反する二人が、美味しいものを巡って、東へ西へと突き進む「太ったんでないのッ!?」。各地で見つけた絶品グルメをネタに飛び出す毒づきあいが絶妙。その毒舌ぶりときたら、「飢えた子豚のごとくガツガツと召し上がるアガワ」「目の前においしい餌をぶら下げればいくらでも働くダンフミ」などと互いに言い合うほど。ふたりのセンスの良いユーモアを織り交ぜた文体と美味しそうな食べ物に思わずお腹を抱えこんでしまうグルメなエッセイ。是非、ご賞味あれ。
つまみ簪職人の源二郎と元銀行員の国政。合わせて146歳の幼なじみのふたりが織りなす痛快で人情味あふれる物語。「政と源」は、生きてきた人生も、性格もすべて正反対で、一見ソリが合わなさそうなだが、互いのことを思いやる良い関係。とは言え、ケンカをすれば、素直になれず、意地の張り合い。いい年をしたふたりなのに、何故か微笑ましい。幼い時分から、苦楽を共にし家族よりも長い年月を一緒に過ごしたふたりの関係は羨ましくも思えます。
ちょっとわがままで、手を焼くタイプのがまくんと、やさしくおおらかなかえるくん。「ふたりはともだち」の中の「おてがみ」では、一度も手紙をもらったことがないと嘆くがまくんに、かえるくんがこっそりと手紙を書く。その手紙をかたつむりくんに託してしまったために、手紙が届くまで何日もかかってしまうのだが、玄関の前にふたりならんで座り、いつまでも手紙を待つ姿に、心がじんわりと温かくなります。 MCL編集部(ふ)
三冊堂140号 (2014/05/22)