ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
1905(明治35)年、写真に魅せられたドイツ人・ワルデマールが世界を知る旅で切り取った記録、『一〇〇年前の世界一周』。庭園や香炉などのさまざまな芸術から、料理や簡素さが際立つ和室などの庶民の風習まで、「すべてが不思議な国」である日本をたいそう気に入った彼は、4か月もの間滞在し当時の日本を写真に収めています。歴史的側面ではない、一旅人が写し出した日本は、とても鮮やかに見えます。
- 詳細
- 作成者:MCL編集部
賞を受賞するほどの気鋭の民俗学者から、介護の世界へと転身した異色の経歴を持つ著者。「介護民俗学」とは著者の造語。介護現場では、利用者と介護スタッフとの関係は、介護される側と介護する側という関係に固定化されてしまうのが現状だと著者は述べます。そこへ、民俗学の調査方法である「聞き書き」を介護現場に取り入れることにより、その特徴である語り手と聞き手の関係性の視点で向き合うことで、利用者は「語り手」となり、介護者は「教えを受ける」調査者という立場になります。『介護民俗学へようこそ!』は、「老い」を対処すべき課題とだけ捉えるのではない、「老い」の価値を見つめ直す一冊です。
- 詳細
- 作成者:MCL編集部