ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
定年退職、リストラ、あるいは家族を失ったことで人生の目的を見失い、東京で孤独に生きる人間が、人との出会いにより自分の人生をとり戻す転機を迎える。『深海の夜景』は、そんな人間ドラマを描いた短編7編です。「余生の証明」では、現役時代、仕事中心主義だった男が、定年退職を迎え”何をしてもよい自由”に戸惑い、一日中JRの環状線に乗車する”何もしない自由”に充実感を見い出しはじめます。そんな中、ひとりの家出少女との出会いをきっかけに、人生の彩りをとり戻していきますが、好事魔多し、隣家に反社会勢力と思われる人間が引っ越してきたことからトラブルが多発。再び人生の色彩を失いはじめます。
- 詳細
- 作成者:MCL編集部
日本の伝統的な色は、500の固有名と100種のトーンの組み合わせによってつくられているそうです。桔梗色、牡丹色、苺色、柘榴色、柿色など色名には花や果実も多く使用されています。『定本和の色事典』は、万葉集をはじめとする文学作品に登場する色名なども掲載され、繊細な色の違いを識別し活用していた先人の感性にわくわくする事典です。
- 詳細
- 作成者:MCL編集部