ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
あとがきで著者は「第2次世界大戦中、兵役で栃木県佐野に駐屯していたとき、軒下などで遊んでいる子供たちを見たとき、自分がこの子らの将来のために死ぬなら多少の意味があると思ったが、そのおろかさに気づいた。このあたりが戦場になれば、まず死ぬのは兵士よりもこの子らなのである。終戦の放送をきいたあと、なんとおろかな国にうまれたことかとおもった。(むかしは、そうでなかったのではないか)。ここから江戸期や明治時代のことを考え出し、小説を書き出した。」と書いてます。まさに『この国のかたち』、日本が歩んできた“いま”を歴史をひも解いて独自の方法で日本思想史を語った一冊です。著者が急死するまで「月間文藝春秋」に連載していた歴史エッセイ。全6巻刊行されています。
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雪の結晶の研究といえばこの方、中谷宇吉郎さんです。私たちが現在様々な雪の結晶の形を知ることができるのも、中谷さんのおかげといっても過言ではありません。また、「雪は資源である」という名言を残しており、雪は利活用できる資源であると考えていました。実際、現在雪を利用した冷房や野菜等の低温貯蔵などが行われ、私たちの身近なところに中谷さんの研究が役立っています。中谷宇吉郎さんは、1930(昭和5)年に北海道帝国大学(現・北海道大学)に赴任し、1962年に亡くなるまで雪や氷の研究を精力的に続けた実験物理学者ですが、研究の傍らに多くの評論やエッセイを残しています。このエッセイ集では、生涯の研究テーマである雪や氷に関することや、日常にひそむ科学の話題、科学的な考え方とは何か、など私たちの日常にも科学が身近であることをエッセイを通して伝えてくれています。『雪は天からの手紙』には、特に若い世代に向けたメッセージが込められており、未来を担う若い方々に読んでいただきたい一冊です。
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今年も残りは5日あまりとなりました。大人になってからは忙しい忙しいと言っているうちに、アッという間に時間が過ぎて1年終わってしまうのは私だけでは無いですよね? 『モモ』の副題は「時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」。町はずれの円形劇場あとに迷い込んだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気持になるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「おれは人生をあやまった」と思っている男性のもとに灰色の男があらわれて言います。「あなたは時間を無駄にはしていませんか?体の不自由な母親や車いすの友人・ペットのために時間を使うなんて無駄です。時間貯蓄銀行に時間を預けると利子も払ってくれます。5年で2倍になります。」彼が預けたはずの「時間」は果たしてどうなってしまうのでしょうか?小学校高学年以上の方向けの児童書ですが、毎日忙しい大人の方もお勧めします。
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