2024年 (令和6年)
7月16日(火)
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 あとがきで著者は「第2次世界大戦中、兵役で栃木県佐野に駐屯していたとき、軒下などで遊んでいる子供たちを見たとき、自分がこの子らの将来のために死ぬなら多少の意味があると思ったが、そのおろかさに気づいた。このあたりが戦場になれば、まず死ぬのは兵士よりもこの子らなのである。終戦の放送をきいたあと、なんとおろかな国にうまれたことかとおもった。(むかしは、そうでなかったのではないか)。ここから江戸期や明治時代のことを考え出し、小説を書き出した。」と書いてます。まさに『この国のかたち』、日本が歩んできた“いま”を歴史をひも解いて独自の方法で日本思想史を語った一冊です。著者が急死するまで「月間文藝春秋」に連載していた歴史エッセイ。全6巻刊行されています。

 今の世情を生きるための指針を示す、ラジカルな箴言集。目から鱗です。コツや秘訣を覚えても無意味だ。何かを得ることができる失敗は飢えから始まる。果てしない思考の延長上にアイデアはある。もっともやっかいで、難しく、面倒な選択肢が正解である。置き去りにされたような孤立感を抱えながらも、淘汰の時代を生き抜くために大切な真のスタートラインを提示するエッセイ『無趣味のすすめ』。今、そこに起こっている事実を最重要視して、身も蓋もないけど正確な事実を突きつけるメッセージが発信されています。
 「タクシーが多すぎる」「見知らぬ知人が多すぎる」・・・。仙台在住の作家・伊坂幸太郎が日々の暮らしを綴ったエッセイ『仙台ぐらし』。前半は多すぎるにこだわった、どうでもいいような事柄をおもしろく悩ませる楽しい話。後半は、3.11の東日本大震災で受けたショックやそこから前向きな気持ちを起こしていくことが書かれています。東北大学卒業後、仙台が好きになって住み着いた著者のやさしさがあふれている一冊です。石巻でボランティアをしている若者2人をモデルにした書き下ろし短編「ブックモビール」も掲載されてます。 (た)

三冊堂123号 (2014/01/09)