2024年 (令和6年)
3月28日(木)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 今年も残りは5日あまりとなりました。大人になってからは忙しい忙しいと言っているうちに、アッという間に時間が過ぎて1年終わってしまうのは私だけでは無いですよね? 『モモ』の副題は「時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」。町はずれの円形劇場あとに迷い込んだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気持になるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「おれは人生をあやまった」と思っている男性のもとに灰色の男があらわれて言います。「あなたは時間を無駄にはしていませんか?体の不自由な母親や車いすの友人・ペットのために時間を使うなんて無駄です。時間貯蓄銀行に時間を預けると利子も払ってくれます。5年で2倍になります。」彼が預けたはずの「時間」は果たしてどうなってしまうのでしょうか?小学校高学年以上の方向けの児童書ですが、毎日忙しい大人の方もお勧めします。

 『蒲公英(たんぽぽ)草紙 常野物語』の舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命のお話です。ある日お嬢様のお屋敷に現れた4人の人たち。お屋敷の外れにある洋館に住むことになった4人についてお嬢様が峰子に教えてくれたのは、時代を超えた人々のめぐり合い。切なさと懐かしさに会える1冊です。
 わたしの家には謎がある。人は永遠の若さを願うけれど。彼女の秘密はあまりにも切ない。祖母のお葬式に現れた彼女の姿は子どものころに私が「おばさん」とよんでいたころと少しも変わっていないように見えました。彼女は私に言います。「あなたたち、これから先も私を養いつづけてくれるんでしょうね?そういう約束なんだから。」 『ゼラニウムの庭』は時の流れの不思議さを描いています。 (み)

三冊堂121号 (2013/12/26)