ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
パリの名所が丁寧に描かれているこの絵本。『げんきなマドレーヌ』 パリの寄宿舎にくらす先生のミス・クラベルと12人の女の子たち。その中でも1番おちびさんのマドレーヌが、ある晩、盲腸炎にかかり入院してしまいます。女の子たちがお見舞いに行くと、病室はお見舞いの品でいっぱい。おまけに、手術のキズを誇らしげに見せるマドレーヌ。羨ましがる女の子達が、その晩、どうしたかというと・・・。子どもの気持ちをとてもうまく表現している絵本です。何事にも驚かないはずのミス・クラベルが流れるような動きをする場面にご注目。
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読むものに飢えた経験がある人は、本を大事にする。平和な時代だけを過ごした人は、平和を粗末にする。この二つ、どこか通じるものがありそうです。
『華氏451度』(≒摂氏233度)は、紙が燃え始める温度。1953年に書かれたSF小説で、本を持つことが禁止され、人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビで情報を与えられる社会を舞台にしていて、1966年にフランソワ・トリュフォーによって映画化もされています。ブラッドベリは後に、「この作品で描いたのは国家の検閲ではなく、テレビによる文化の破壊」と述べています。大宅壮一がラジオやテレビの影響を予測し、「一億総白痴化」と評したのは1957年のことでした。
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昭和30年から40年にかけて切手ブームが起こり、切手を収集することは「趣味の王様」とまで呼ばれました。「小さなキャンバスのなかに広がる豊かな芸術」と紹介されるように、それ専門のデザイナーによるデザインと、熟練された彫刻の技術を持つ匠の技によって作られる切手は、なるほど手元で楽しめる名画鑑賞なのかもしれません。浮世絵も仏像画も昆虫の絵も、どれも味わい深いです。東京オリンピックではオリジナルの切手が発行されることでしょう。『切手 NHK美の壷』
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