ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
人間がその固有の歴史の出発点において最初に獲得した不思議で可能性に満ちた道具であり、人間の精神に関わる文化そのものを生み出した「ことば」。印刷という技術により書物や新聞を生み出し、今なお切り開かれるメディアの一つである「ケータイ」。ケータイというメディアを媒体に、「ことば」という道具の歴史と現在とを明らかにすることで、「ことば」が支えている人の思考力や想像力、感性や行為が直面している問題を掘り下げた『ケータイ化する日本語』。空気のような「ことば」について、よくよく考えるトリガーになります。
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思い出の紙カツや海苔巻き、ビフテキ、昔なじみのミルクコーヒー…『台所のラジオ』は、全十二編の短編集ですが、どの物語にも、懐かしさを覚える食べ物や飲み物だったり、昔から変わらずにある場所などが登場し、郷愁を誘う一冊です。十二編の物語は、日常の一コマを切り取ったような物語、少しおとぎ話のような物語など、ジャンルは様々ですが、どの物語の主人公も共通してラジオを聞いています。主人公が利用する情報メディアに、インターネットや携帯電話、テレビでもなくラジオが置かれていることで、物語が一層懐かしさを帯び、読者の心の温もりも増していきます。
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