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世界遺産に登録された国立西洋美術館が賑わっていますが、わが国最古の博物館として、質も量も日本一を誇る「トーハク」こと東京国立博物館も、多彩な企画展の際は、モノを見て何かを感じる環境ではなくなるほど混雑しているそうです。路上観察眼を持つ建築家の藤森照信と画家の山口晃が案内役として東京国立博物館の魅力を語る『探検!東京国立博物館』。展示品に目がいってしまいがちですが、照明はアール・デコ風、モザイクはイスラム風の本館1階ラウンジなど、その佇まいの面白味も紹介されています。
路上観察といえば、超芸術トマソンで知られる赤瀬川原平。縄文土器から仏像、琳派、浮世絵、近代洋画まで名品100の魅力を語り尽した日本美術案内『赤瀬川原平の日本美術観察隊』は、「再現日本史」という週刊のグラフ誌の連載をまとめたもの。「黒楽茶碗」の解説では、茶碗の美学は茶碗の持つ無意識の美を他者が発見することにあるのに、それを自分の手で作ろうとする、いわば自分が自分の無意識の美を引き出すことは、哲学の領域に踏み込むことであり、こういった哲学世界にうっかり踏み込み帰れなくなる人が大勢いることから、黒楽茶碗は「危険領域」にあると述べています。
哲学が散りばめられているダンテの「新曲」は、19世紀にドレが挿画本にすることで視覚芸術に革命を起こしました。ドレの挿画134点を詩人・谷口江里也が絵に沿って作品を訳・構成した『ドレの神曲』は、読むべき不朽の古典名作をあっという間に読めてしまう一冊。哲学の入り口としてもおすすめです。 MCL編集部(そ)
三冊堂329(2018/1/4)