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「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」―5年前、自殺に失敗したお父さん。家を出て行ったお母さん。生きていくために「真剣さ」を手放し、大学に行かなかった兄の直ちゃん。そして、私…「幸福」と謳ったタイトルから、主人公の家庭環境がこうなっているとはなかなか予想できないかと思います。壊れかけたひとつの家族が、もう一度『幸福な食卓』を囲むまでの物語。
「ほんとうのさいわいはいったい何だろう」ジョバンニは友だちのカムパネルラと共に乗り込んだ銀河鉄道の中で、こう口にします。『銀河鉄道の夜』には「ほんとうのさいわい」という言葉が何回も本文に登場しますが、その答えは物語の中では明確に語られません。宮沢賢治が生前4度書き直し、とうとう完成には至らなかったこともこの問いの難しさを示しているように感じます。
両親を失い、叔母に引き取られることになった『少女ポリアンナ』。悲しい境遇であるにもかかわらず明るくふるまう彼女の心の支えは、亡くなった父親から教わった「幸せゲーム」。どんなことも幸せにおきかえる「幸せゲーム」を通して、ポリアンナの周りの大人たちは前向きな心を取り戻していきます。そしてポリアンナが悲しみに沈んだ時、彼女に心を救われた人々は… MCL編集部(小)
三冊堂327 (2017/12/21)