ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
10月は農林水産省が制定した魚食普及月間です。今回は、日本の食生活・文化に欠かせない「魚食」に関する本を紹介します。
まずは、魚を知るための一冊、『THE FISH 魚と出会う図鑑』です。本書は魚譜画家の長嶋祐成さんによる絵と文章が素晴らしい図鑑です。写真では伝わりづらい、生きている魚が持つ鮮やかな色彩や透明感を余すところなく表現し、生命力を感じさせてくれる絵。著者と魚との興味深いエピソードを綴った文章。画集、エッセイ集としても秀逸な本書ですが、もちろん「図鑑」ですので、学名や生息地などの基本情報も十分に掲載されています。
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ブラックホール研究の進展に貢献したことで2020年ノーベル物理学賞を受賞した、ロジャー・ペンローズ氏。ペンローズ氏は、不可能立体「ペンローズの三角形」や「ペンローズの階段」を考案し、だまし絵で有名なエッシャーの「滝」などに影響を与えたそうです。あがってもあがっても下へいく階段。どうやってもさかさまで歩いてしまう道。流れている方向が分からなくなる水。不思議な絵に、本をアレコレと動かしてしまう『ふしぎなえ』は、不可能立体の世界を楽しめます。
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『不滅の昭和歌謡』は、元レコード大賞審査員である著者が百の名曲誕生のドラマとエピソードを語った一冊です。ヒット曲に恵まれなかった石川さゆりのために書き下ろされた「津軽海峡・冬景色」、演歌界では稀有なシンガー・ソングライター吉幾三の「雪國」等々、昭和歌謡史のウラ話が満載ですが、演歌界の話ばかりでなく、キャンディーズやピンクレディ、松田聖子や山口百恵など七十年代から八十年代のスーパーアイドルのウラ話なども盛りだくさんで幅広く楽しめます。
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