2024年 (令和6年)
4月20日(土)
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 10月は農林水産省が制定した魚食普及月間です。今回は、日本の食生活・文化に欠かせない「魚食」に関する本を紹介します。
 まずは、魚を知るための一冊、『THE FISH 魚と出会う図鑑』です。本書は魚譜画家の長嶋祐成さんによる絵と文章が素晴らしい図鑑です。写真では伝わりづらい、生きている魚が持つ鮮やかな色彩や透明感を余すところなく表現し、生命力を感じさせてくれる絵。著者と魚との興味深いエピソードを綴った文章。画集、エッセイ集としても秀逸な本書ですが、もちろん「図鑑」ですので、学名や生息地などの基本情報も十分に掲載されています。

 次は、日本が誇る魚食文化の代表「鮨」の本です。『鮨12ヶ月』は1月から12月まで、月ごとに旬、はしり、なごりのネタを使った鮨が紹介されています。旬の魚が持つ美味しさ。そして、魚の持ち味を最大限に引き出す職人の技。味わうことで季節の移ろいを感じることができる鮨という料理の素晴らしさが堪能できる一冊です。写真が特に美しく、眺めるだけでも食欲をそそられます。

 最後は、少し考えさせられる一冊です。『魚が食べられなくなる日』は、日本の漁業を取り巻く諸課題について著述しています。最近、漁獲量の減少により、かつての庶民の味覚が高級魚に変わってしまった例が多くみられます。また、気候の変動によりサンマが近海で獲れなくなったり、サケの定置網にブリが大量に入ったりと、日本の海は変化しています。こういった変化に対応し、漁業や魚食の文化を守っていくにはどのようなことが必要か、本書ではわかりやすく、丁寧に解説してあります。 MCL編集部(な)

三冊堂475(2020/10/22)