『いつまでも木と共に紡ぐ暮らし』
敷地に入ると、一面に広がる丸太の山が目に飛び込んできた。なかなか見る事の出来ない光景に「わー」思わず感嘆の声があがる。
オムニスでは住宅用の木材の他に紙の原料になるチップも作っている。今、紙を使う機会が減ってきていると話す社長。「手紙、書かないですよね?」との問いに「書きます(笑)」と答えた私。書籍や新聞が次々と電子化される中、紙という媒体を失いたくないと切に思う。地元十勝の企業が出版している、北海道の魅力的な暮らしを伝える雑誌、スロウも紙から生まれている。木のある暮らし、紙のある日常を送ることができるのは当たり前のことではない。山を守ってくれている人の存在あってこそ。「50年、100年先を見据えた長期的な活動」と会社パンフレットには書かれていた。そうか、今の時代、長い目で物事を見るという視点が欠けているのかもしれない。物事に時間をかけること、物を使い捨てにせず、長く大事に使っていくという心が・・・。「この土地に生まれて大切に育てられ、地元の人の暮らしに役立っている事を誇りに思う。ここに生まれてよかった」。カラマツから、そんな声が聞こえた気がした。
「カラマツ住宅に住むお客様から、『この木材を使ってよかった』と感想を聞ける事がやりがい」。目の前でそう話す社長の姿には実感が込められていて、だから仕事を続けてこれたのだと思わせるほど、私の心に伝わってきた。
私が木を選ぶ基準って何だろう?今、外国産の安い木材に押され、国産の木の需要が減っていると言う。カラマツは成長が早く丈夫で、若いときはクリーム色、年数を経てなめ皮の様な色になるそうだ。事務所に設置された椅子も、カラマツで作った自社の作品。椅子には塗装されずともツヤリとした自然の光沢があった。
この記事が、これからマイホームを検討する際、資材に地元の木があることを知ってもらうきっかけとなったなら、うれしい。
取材先:オムニス林産協同組合
執筆者:岡田陽江