2024年 (令和6年)
12月4日(水)
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午前10:00から
午後 6:00まで

 『製材工場を見学して』

 「地元の国産木材に高い付加価値をつけて、生産者に利益を還元したい」。
 そう熱く語って下さったのは幕別町にある(有)瀬上製材所社長の瀬上晃彦氏。瀬上氏はオムニス林産協同組合代表も務めていらっしゃる方だ。文章講座の取材に対して快く、どんな質問にも丁寧に答えて下さった。ひとたび国産木材の話題になると、途端に熱が入り饒舌になるその姿からは、国産木材に対する強い愛情が感じられた。
editer sega 12 日本の国土の約七割は森林。北海道の森林面積のうち四十七パーセントは人工林で、そのうち十勝のカラマツが七十五パーセントを占めているといわれている。つまり国産資源は沢山あるのだが有効利用できておらず、安い海外木材の輸入に頼っているというのが林業界の現状なのだ。
 当組合で扱うカラマツは国産だが、その八割はパレットと呼ばれる比較的安価な物流資材に加工され、使われている。しかし、カラマツをより高付加価値な住宅用木材として活用しようと、瀬上氏が会長となり、平成十六年に「とかちの木で家をつくる会」を発足させた。地元で住宅用の木材を扱うことによって得られる利点は主に2つ。1つ目は、お客様の顔が見えること。そして2つ目は、直接の評価を知ることが出来ること。「本当によかった」というお客様からの声が特に嬉しいとのこと。
 とはいえ、一般の人にとっては、カラマツといってもなかなかピンとこないかもしれない。特に住宅というと一部の人にしか関係のない分野と思ってしまいがちだ。そのため、それらを解消し、カラマツの良さを知ってもらうための工夫として、「積木」や「小物」を製品化し、販売する活動も行っているという。
 瀬上氏に様々な取り組みを聞くことで、木のぬくもりを感じながら生活できる、十勝という恵まれた土地の良さを改めて知ることが出来た。

取材先:オムニス林産協同組合
執筆者:森下満智子