ジャンル分類と50音順の並べ方だけだと、本が孤独に見えることがあります。本を文脈でつないでみると、本と本がつながって、違う表情が見えてきます。なぜ、三冊かというと・・・
井上ひさしは「ニホン語日記」にこう書いています。『混沌たる時の流れを過去・現在・未来と三つに区切ると、時間が辛うじて秩序だったものになる。鮨屋の主人は自店のにぎりを「松・竹・梅」 に分け、鰻屋の亭主は自店の鰻丼を「特上・上・並」の三つに分けて、店の売り物のすべてを表す。混然としたものを一つで言ってはわけがわからない。二つで言っても据わりがわるい。三つに区分して言うと突然、構造が安定し、混然としたものの正体が見えてくる』
本と本 本はつながる。
本と人 本とつながる。
人と人 本でつながる。
さあ、「三冊堂」!開店のお時間です。
冬の到来により、体がとても冷える時期になりました。そんなこの季節に心温まるストーリーを奏でる本を紹介します。
家族小説の名手、瀬尾まいこさんの新作で心温まるファンタジー『そして、バトンは渡された』。血の繋がらない親の間をリレーされ、4回も名字が変わった森宮優子、17歳。だが、彼女はいつも愛されていた。身近な人が愛おしくなる優しい家族の物語。2人の母と3人の父…そうそう有り得ない設定なのに読めてしまうのは、人の繋がりが淡々としているようで温かいから。主人公に対する血の繋がらない「両親」の大きな愛に感動。そして世の中の人がみんな優しい人ばかりなんだって気になって、幸せな気持ちになれる一冊です。
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- 作成者:MCL編集部
司書が図書館でどういう仕事をしているか、イメージすることができるだろうか。司書といえば、カウンターで、本の貸出と返却された本を棚に戻す仕事だと思っている人も少なくないだろう。司書の仕事には、いわゆる“窓口業務”のほかにも、見えない仕事が実はたくさんある。『司書のお仕事』は、司書が普段どんな仕事をしているか、具体的にわかるように書かれている。ストーリー形式になっているので、とても読みやすく、図書館のことを何も知らない人でも興味を持ってもらえる内容となっている。文中には、図書館の用語もたくさん出てくるが、その一つひとつに対して、注釈や解説がきちんとついている。これから、図書館の仕事に就きたいと考えている人や、司書課程で勉強を始めたいと考えている人たちにとって、とても参考になる一冊。現役だけれども、まだまだ未熟者の私にとっても…。初心を忘れるべからず。
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- 作成者:MCL編集部