冬の到来により、体がとても冷える時期になりました。そんなこの季節に心温まるストーリーを奏でる本を紹介します。
家族小説の名手、瀬尾まいこさんの新作で心温まるファンタジー『そして、バトンは渡された』。血の繋がらない親の間をリレーされ、4回も名字が変わった森宮優子、17歳。だが、彼女はいつも愛されていた。身近な人が愛おしくなる優しい家族の物語。2人の母と3人の父…そうそう有り得ない設定なのに読めてしまうのは、人の繋がりが淡々としているようで温かいから。主人公に対する血の繋がらない「両親」の大きな愛に感動。そして世の中の人がみんな優しい人ばかりなんだって気になって、幸せな気持ちになれる一冊です。
「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。歴史ある百貨店を守ろうとするさまざまな人々と、館内に住むと噂される「白い猫」による物語、『百貨の魔法』。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語です。
松宮周作は、シングルマザーの紫織との結婚を前にしたある日、父親から見たこともない預金通帳を手渡される。自分の為に大金を振り込んでいた謎の人物を探し始めたことにより、父親と自分の過去がわかっていく…。青春小説の旗手が挑む作品『ウズタマ』。唯一の真相を知る父は、脳梗塞で昏睡状態に。そうなって初めて、父の過去や自分の過去も詳しく知らないことに気づく。その“誰か”を探し始めた周作は、25年前のある傷害致死事件に行く着くのだが…。小さな希望が灯る、新しいカタチの家族小説です。 MCL編集部(し)