2024年 (令和6年)
11月22日(金)
Weather
午前10:00から
午後 6:00まで

 『幕別町の特産品を全国に発信している木川商店』

 国道38号線から幕別の市街に入ってきて最初の交差点の角に、木川商店はある。自動販売機とギョウザの旗があるが、お店やってるのかなーと、少しだけ不安になるほど静かな佇まい。けれど、店の扉をくぐると、店を切り盛りしているご夫婦の気さくな笑顔が出迎えてくれた。
 初代は、幕別町が止若(やむわっか)と呼ばれていた昭和初期に、富山県から入植して干物や野菜の行商をしていたそうだ。昭和32年には会社組織にし、今は木川商店ともう一つの会社を経営している。行商からスーパーになり惣菜や弁当を作っていたが、現在は店を小さくして、酒と米を中心に販売している。お話をしてくれた萩原さんは、木川商店の3代目に当たる方だ。

editer kigawa 01 創業から80数年が経つ木川商店。近年、「何か幕別町に関係するものを売りたい」と考えるようになった。そんな思いから、幕別産のアスパラやニラも販売している。「富良野のお姉さんのところに送って」と注文をくれる常連さん。「アスパラ送って」と電話をくれる、会ったこともない本州の人。品物も見ないし、値段も聞かないで注文されることもあるのだと、不思議そうながらも、嬉しそうに話してくれた。
いつもアスパラを知人に送っている常連さんの、こんなエピソードもある。その常連ランが、知人に別のスーパーのアスパラを送ったことがあるそうだ。ところが、「『いつものアスパラを送ってほしい。エンピツみたいなものが入っていたよ』と言われちゃってね」と苦笑しつつ、改めて木川商店に注文に来たという。木川商店のアスパラは3Lのものを扱っており、太くておいしい。なかなかこういう商品はないし、お客さんにも気に入ってもらっているそうだ。その品質の良さが伝わるエピソードだろう。
 味の良さはもちろん、安心、安全なものを販売しているが、「お客さんから信頼されていると思うと、間違ったものは絶対に売れない」と、萩原さんは熱く語ってくれた。傍らで奥様も、「おいしかったよ」と言われることが一番うれしいと話してくれた。
 最近は、幕別町の特産品を売りたいと考え、インカのめざめでコロッケを作って昨年イベントで揚げたてを販売し、とても好評だった。さらに忠類のユリ根を入れて試行錯誤しながら完成させたコロッケを、これから販売していこうと計画している。10月には、東京ビックサイトで幕別産のコロッケのPRをしてくる。
 「僕は考える人、妻は作る人、僕は食べる人」と二人三脚で開発したというコロッケ。商品の開発は初めてだったそうだが、これからもできることを考えて、幕別町に貢献したいと話していた。取材を終えてすっかり木川商店のファンになった。手作りコロッケはおいしかった。3Lのアスパラを食べてみたい。おいしいお酒も飲みたい。と私の欲望(笑)は膨らんでいる。

取材先:木川商店
執筆者:楠美智子