2024年 (令和6年)
4月28日(日)
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 40万点もの植物標本を集め、1500以上もの植物に名前をつけ、植物分類学を発展させた『牧野富太郎』。「人間がいなくても植物はちっとも困らないが、植物がいなくなると、人間は生活できない」という言葉が口ぐせだった富太郎は、世の中がどうなろうとも、植物研究をやめませんでした。草花を観察して楽しめるのは、平和であるからこそ。「植物を愛する心は、命を愛する心である」と、植物の素晴らしさを伝え続けた富太郎の生き方は、私たちに大きな勇気を与えてくれます。

 ただひたすらに、植物を愛し、その生涯をすべて、植物採集と研究、分類に捧げた日本植物学の父、牧野富太郎の生涯を描いた物語『ボタニカ』。貧苦にもめげず、莫大な借金を抱えてもなお、自分の好きな道を信じて、突き進み続けた天才植物学者の姿に強く心を揺さぶられます。
 牧野富太郎が15年の歳月を経て出版した牧野植物図鑑。細部まで緻密に描かれた植物画を見るたびに、感嘆のため息がもれます。今なお色褪せることのない牧野植物学の集大成である初版の図鑑を小型にして再現した『卓上版牧野日本植物圖鑑』。研究とは、まさに観察から始まるのだということを改めて感じる一冊です。 MCL編集部(ふ)

三冊堂619(2023/08/03)