2024年 (令和6年)
4月26日(金)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 幸福と安定の時代である現代。そんな時代だからこそ、芸術作品に恐怖と戦慄が求められるのは当然であると作家・夢野久作は言っています。小説も、ひとつの芸術作品ですから、”傷口に塩をなするような読後感”で心を逆撫でする小説が求められてるのも当然かもしれません。『厭な物語』は、巨匠アガサ・クリスティーが女性の闇を抉った「崖っぷち」など、人間の心の恐ろしさを描いて読者をひきつける海外の短編の名作11編を収めた一冊です。どの作品も後味の悪さは保証します!

 望み通りの結末になることなんて、現実でもめったにないと思いませんか?『ハッピーエンドにさよならを』は、11通りの殺意や死を描いたアンチ・ハッピーエンド・ストーリーの短編集です。家族、親子や友人との間に起きた些細な出来事、勝手な思い込みや人間関係の破綻が招く不幸な結末。やり直しのきかない一度きりの人生で、自分だったらどうするだろう、どうしただろうとわが身に置き換えて考えてしまう物語。あっと驚く結末も待ち受けている一冊です。

 『月下の恋人』は、恋人と別れるつもりで出かけた旅館で起こった奇跡を描いた表題作や、うだつの上がらない継父と女子高生の心の交流を描いた「告白」など11編を収録した一冊です。”小説の大衆食堂”を自称する著者。本書には、SFや霊に関わる物語、ミステリなど、様々なジャンルの小説が収められています。また、”平成の泣かせ屋”とも呼ばれるその異名に違わず、グッとくる物語(特に中高年か!?)も収録されていますが、どれも読後に心がもやもやすること受けあいです。 MCL編集部(吾)

三冊堂388 (2019/02/21)