2024年 (令和6年)
5月3日(金)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 大企業のオーナーの家に、後妻の連れ子として入った主人公・敏也。彼は、血のつながりがないことで、疎外感を持ち続けていた。養父の溺愛する義兄が急逝し、義兄に内縁の妻と幼い娘がいることを知った敏也は、極秘のうちに義兄の忘れ形見である娘を引き取る。『空色の小鳥』の根底にあるテーマは、重く感じられる。しかし、物語が重たくならなかったのは、敏也の周りの協力者たち(彼女とオネエの親友)が明るくサポートしてくれたことによる。この奇妙な関係の者たちとの共同生活が、血のつながりにこだわり続けた敏也の心をほぐしていく。

 アラフォー独身女・佐知とその母・鶴代が暮らす古びた洋館に、佐知の親友・雪乃(水難の相あり)と、雪乃の会社の後輩・多恵美(元カレストーカー男から逃れるため)が越してきた。妙齢の女たちのおかしな同居生活。彼女たちの日常は、かしましくも、どこか楽しそう。こんな風に暮らすのも悪くないと思わせてくれる『あの家に暮らす四人の女』
 さまざまな人生を生きる女性たちの『三人暮らし』を描いた10の物語。58歳のときに、同い歳の友人二人と共に、マンションに住みはじめた78歳・ツル子たちの暮らしぶりを綴った『三人で一人分』。電球ひとつを替えるのも三人で力を合わせてやっとのこと。それでもやっぱり、気のおけない者同士の暮らしはやめられない。ほどよい距離を保った暮らしは、なかなかもって居心地のよいものだということか。 MCL編集部(ふ)

三冊堂251 (2016/07/07)