人類が“いなくなった後”のお話色々。元から存在する生物の形態を比較的保ったまま人類的な生活を営む『ざわざわ森のがんこちゃん学校おばけのなぞ』。がんこちゃんが通うマンナカ小学校の地下室は「大むかし、このあたりにすんでいたという、にんげんたちが、ごみすてばにしていた」場所で、そこには「にんげんの、くびから下の、ほねのひょうほん」が置いてあります。『学校おばけのなぞ』はがんこちゃんたちがこの標本の頭を探し奮闘するお話です。NHKの道徳番組ということもあり、特に“人類が何をしてどう絶滅したのか”という所に焦点が当たることはあまりありませんが、時々登場する人類の遺構等にどきっとさせられます。しかしながら、がんこちゃんたちが力を合わせて物事を解決していく姿には勇気をもらうと同時に癒されます(人類は絶滅していますが)。
生物としての人類はいないが、何らかの形で意識(自我)が継承されている+機械は動き続ける『世界の終りのためのミステリ』。何らかの理由で人類が消失した世界に目覚めた「人間の意識を、半永久的に持続可能な人工身体にコピーしたヒューマノイド」カティス達の物語。タイトルにある通り、基本はミステリです。生物としての人間ではない「カティス」であることから生まれる謎を解きながら、「半永久的な生」、「人格のコピー」は人類に何をもたらすのか、ちょっと考えてします。
人の代わりの人らしき新生物がでてくる『ヒトデの星』。世界は泥に覆われ、「ヒトの形を真似る」ことのできる「ヒトデナシ」が暮らす世界。ヒトのように社会生活のようなものを営みますが、泥の世界であるがゆえにヒトの社会の様にはいかず「私」さえもが一定ではない……「昔々あるところに」から始まり「めでたしめでたし」で終わるどことなく哲学を感じる物語。 MCL編集部(綾)
三冊堂655(2024/04/11)