2024年 (令和6年)
4月27日(土)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 さわやかな初夏に、ゾンビ。創作上では基本の「歩く死体」「生(活)ける屍」に色々な設定を付与され、登場します。ゾンビの基本的なイメージがなんとなくわかる『血をすう死体』は世界の様々な妖怪が物語調で紹介されている児童書です。ゾンビは「よみがえる死者」という題で掲載。20世紀初頭にハイチへ探検した際、とある宗教の儀式を目撃し……という恐怖の体験談。24編載っているため話自体は短め。

 世界中で死者の復活が確認され、原因の特定とともに取り扱いに関する法も制定されている現代日本が舞台の『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』。ゾンビウイルスの研究者が密室でゾンビ化、警察も捜査に乗り出す中突如現れた謎の探偵!ゾンビの性質やそれに係る研究を絡めたミステリ作品です。この世界のゾンビは基本的に動きが鈍く生きていた頃のような知能もなく、「人」としては扱われません。
 一方、『ぼくのゾンビ・ライフ』には「脳あるリビング・デッド」が登場します。舞台はアメリカ。自然発生的に「生前の意識が残ったまま」のゾンビ化が稀に起こり、主人公のアンディも交通事故により同乗者の妻は亡くなりますが、自分は蘇生してしまいます。ゾンビ化による心身の変調を抱えたまま暮らしているゾンビたち。社会での立場は決して良くはなく、差別や偏見にさらされるなかアンディはゾンビの権利を求め行動をはじめます。パニック・ホラーだけではないゾンビにまつわる小説、お試しあれ。 MCL編集部(綾)

三冊堂608(2023/05/18)