2024年 (令和6年)
11月23日(土)
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 4月の最もポピュラーな異名は「卯月(うづき)」ですが、そのほかにもさまざまな名前があります。
 稲の苗などを植える月という意味からきているのが、「種月(うづき)」。イネは大きく短粒で粘り気のあるジャポニカ種と長粒でぱさぱさしているインディカ種に二つに分かれるそうです。稲と鳥と太陽という観点から日本文化の原点を追う『稲と鳥と太陽の道』。日本のイネは、中国南部のミャオ族によってもたらされたなど、科学的な視点や世界の風習を織り交ぜた仮説は、他の本にも手を伸ばしながら読みすすめるほど、知的好奇心の糸が広がります。

 蚕に食べさせるための桑の葉をとる月という由来の呼び名が、「木葉採月(このはとりつき)」。伊勢丹入社から50年にわたり呉服販売に従事した著者がきものの歴史と知識をまとめた『きものの歴史』。生地の染め方・織り方からきものの種類まで、きもののありとあらゆることを知ることができます。蚕には、天蚕(山まゆ)という山野に自生した日本固有のものと、中国から輸入された柞蚕(さくさん)とがあるそうです。
 北日本では桜が残り楽しむことができる時期であることから呼ばれるのが、「花残月(はなのこりづき)」。北大路魯山人に師事した著者が、江戸の食文化を解き明かす『江戸の食の履歴書』。江戸時代に有名だった長命寺の桜餅は、長命寺の門番だった山本屋の祖先・山本新六が銚子から江戸に出てきて、慰み半分に土手の桜の落葉を集め、塩漬けにして置き、桜餅をこしらえたことに始まります。日本語が美しいのは、生活との関わりが深いからかもしれません。 MCL編集部(そ)

三冊堂602(2023/04/06)