2024年 (令和6年)
5月19日(日)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 日々成長し、体も心もあっという間に大きくなる子どもたちを見て、大人の私たちは「大きくなったね」と声をかけたくなってしまいます。だけど当の子どもたちにとって「大きくなる」とは一体どういうことなのでしょう。着ていた服が小さくなる。大人の歯が生えてくる。確かにそれも大きくなった証だけど……元保育士として多くの子どもたちを見届けてきた中川ひろたかさんの『おおきくなるっていうことは』。大きくなる、大人になるってどういうことなのでしょう。大人になっても正解がわからない永遠のテーマですが、後半で園長先生が語る「おおきくなること」は「なるほど…!」とストンと落ちてきました。

 トリシャは絵を描くのが大好きな女の子。だけど同級生達と同じように文字や数字を読むことが出来ません。成長するにつれて周りのみんなと自分の違いに苦しみ、トリシャは学校が嫌いになってしまいます。ところが5年生になったある日、背の高いフォルカー先生がやってきてトリシャのために特別な授業をしてくれることになったのです…。作者であるパトリシア・ポラッコ氏の子供時代がモデルの『ありがとう、フォルカーせんせい』。絵本の最後、大きくなったトリシャが偶然再会したフォルカー先生に伝えた言葉に胸が熱くなります。
 最後に紹介する絵本も、実話から誕生したおはなしです。毎朝登校する子どもたちに元気よく「おはよう!」と挨拶をするくまの校長先生。しかし、ひつじくんは大きな声で挨拶ができません。「勇気を出してごらん」と校長先生に言われたひつじくんは、ひとりで大きな声を出すための練習をします。ところがそれからまもなく、校長先生は病気で今までのように大きな声を出せなくなり…。病に侵されながらも、子どもたちのために教壇に立ち続けた実在の校長先生がモデルの『くまのこうちょうせんせい』。相手を思いやり、寄り添う心を伝えてくれます。 MCL編集部(小)

三冊堂598(2023/3/9)