2024年 (令和6年)
5月19日(日)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 作者は違うのにどこか似たものを感じる・・・そんな時は表紙に共通点があるのかもしれません。そんなわけで今回は表紙のイラストレーターさんが同一のものを集めてみました。初回(続くかなぁ)は食べ物イラストレーターのイナコさんです。温かさを感じるイラストは、とてもキレイで美味しそうなものばかりです。
 『おにぎり処のごちそう三角』は、若くして最愛の妻を失い失意の元料理人秋宗が、ひょんなことから潰れかけの「おにぎり処バーベナ」で働くことから始まる物語です。お店は不安定ながらも確かな絆で親子になろうとするオーナー桜子と、桜子の義理の息子夏樹二人の大切な場所。二人の居場所を守りたいとの思いから、斬新な発想と確かな料理の腕前で握られるおにぎりは、いつしか人と人の手も握り合わせていきます。読み終わった後には美味しいおにぎりが食べたくなる一冊です。

 『うしろむき夕食店』は、ぱっと見はネガティブなイメージのタイトルに見えますが、そこに込められた思いは「古き良き時代を思い出すような、なつかしい雰囲気のお店」という、訪れる人たちが自宅で夕食を食べているかの様にくつろげる場所です。住宅街に溶け込むこのお店には「料理おみくじ」という一風変わったメニューがあり・・・というお話なのですが、個人的には同じお店や内装家具について表現しているのに、各章の人物ごとに感想やたとえが一つ一つ違っていることが印象的でした。初出が【キリンビール公式note】ということで、数々の料理とペアリングされたお酒、すべてが美味しそうで読み終わった後には(食欲が)危険かもしれません。
 転勤したての札幌で、心身ともに弱り切った千春が偶然立ち寄った「くま弁」。千春は店員のユウさんが作る魔法のお弁当に元気をもらい、新生活を再スタートさせていきます。様々な悩みを抱えたお客様に、人情溢れる優しい人たちと思いやり溢れる美味しいお弁当で笑顔を取り戻させてくれる『弁当屋さんのおもてなし』シリーズは、タイムリーなことにドラマ放送も始まります。美味しそうなイラストや描写の本作がどのような映像になるのか楽しみです。 MCL編集部(有)

三冊堂596(2023/2/23)