2024年 (令和6年)
7月17日(水)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 人づき合いはほどほどに。隠居して好きなことだけをする。72歳を迎えた著者が、一人で過ごす愉しみを綴った『酒と人生の一人作法』。黙って酒に一人向き合い、頭を空っぽにしてくれる酒の大いなる効用を味わう。昼は麺、夜はごはんと決めている自炊で、気分転換をする。スピーカーで遠慮なく音を出してレコードを聴く。取り立てて特別ではないことも、見方を変えれば味わい深い日常になります。

 蟹の身をほぐす作業も蟹の味の一部のような気がすると語るのは、作家の赤瀬川原平。ほぐした身をある程度溜めてから食べる彼のくつろぎの時間は、面倒な作業を終え、手を綺麗に拭き、おもむろに食べるところから始まります。各界の著名人が「くつろぎ」をテーマに書き綴った『喫煙室 くつろぎの時間』。使い込まれた鉄瓶で沸かしたお湯でお茶を飲む。お茶事のようにゆっくりと駅弁を食す。安らぎは、殊更探すものではないことに気がつきます。
 新しいネコ缶を所望しては少ししか食べない、女王様のようなネコのしい。女王様に叱られながら、さまざまなネコ缶を準備する乳母のような飼い主の著者。一人と一匹のドタバタな毎日が描かれる『咳をしても一人と一匹』。著者がネコに振り回される日々は、かけがえのない癒しなのかもしれません。 MCL編集部(そ)

三冊堂570(2022/08/25)