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電話。声しか聞こえない、という状況が不思議な世界を想像させてくれることがあります。
ある一日を『ターン』することになってしまった銅版画家の真希。なぜかこの世界には真希以外誰もおらず、ある時間になると世界はまたはじまりと同じ状態に戻ってしまう。そんな時間が150日も経過した時、突然電話が鳴り-。誰もいない真希の世界と、元の世界をつなぐ唯一の手段は電話。この電話を機に少しずつ繰り返しの毎日が変化をし始めます。
世界と自分をつなぐ回線。相手が望まずともつなぐことも出来るわけで、固定電話では、相手がわからずに電話を取るということもありますよね。いたずら電話をする陰気な電話魔にその女性の兄という人物が電話越しにとある話を聞かせる『混線』。果たしてこの混線とは一体-。
今では当たり前のようになった携帯電話。いつ頃持ち始めるのか、というのは人によりますが『Calling You』に登場する高校生の私はまだ携帯電話を持っていません。私は頭の中に理想の携帯電話を持つことにしたのですが、なぜかその電話が鳴りだし、相手も頭の中の電話に話しかけていると言うが-。この作品が発表されたのは2000年、所謂ガラケーの時代ですが、着メロやストラップなどといった描写が少しの懐かしさも感じさせてくれます。
見えない、知らない相手と時と場所を超えて繋がり、日常が電話によって変わる、そんな3冊をご紹介いたしました。 MCL編集部(綾)
三冊堂540(2022/1/27)