伝説の…

　2004年の早春に"私"に一通のエアメールが届いた。差出人はロシア人科学者Ａ・ヒロポンスキー博士の孫アナスタシア嬢。彼女からのエアメールは伝説上に語られる未確認生物（ＵＭＡ）探索への誘いだった…。『幻獣標本採集誌』は、探索の旅の末に得た収集の成果を収録した驚異のフィクション博物誌です。伝説の竜や河童、キリスト教にある七つの大罪に準ずる容貌を持ったミイラなど。奇妙奇天烈な異形のミイラ群は息を呑むこと間違いなしです。

　もう、かなり昔になりますが、インターネット上で話題になった「くねくね」という怪談をご存じでしょうか？怪談や怪奇現象、妖怪、秘境、未確認生物などをめぐる説話は、インターネット時代の現代においてどのように伝承されているのか。『ネットロア 』は、「ハナシ」の伝承を研究する著者が、ウェブ時代の「ネットロア（主にインターネット上で広まっている都市伝説）」の流通・受容について解き明かした異色のネット研究書です。

　UMA（未確認生物）の代表格である雪男の伝説は、登山家をはじめ様々な人々を魅了し、その発見に人生を捧げ、命を落とした者さえいます。2008年10月、新聞に掲載された、雪男のものとされる足跡の写真は世界中の多くの人々を驚かせました。『雪男は向こうからやって来た』は、雪男に全く関心のなかった著者が、2008年に思いも寄らず加わった探索の一部始終を記録したドキュメントです。探索後に著者がたどり着いた、雪男探しをめぐる一点の鋭い真実に納得する一冊です。　ＭＣＬ編集部（吾）

三冊堂489（2021/01/28）