2024年 (令和6年)
7月18日(木)
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 「世界は私たちがいた元の姿に戻ることはできないでしょう。『新しい日常』になるはずです」。4月23日にWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が示した認識は、納得と同時に見えない未来に対する困惑を覚えました。 舞台は遠い未来。衰退の危機を認めた人類は、異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人間の誕生に賭け、「母」なる存在のもとそれぞれの集団が隔離される生活を選びます。それでもゆっくり、着実に滅亡の道を歩んでいく人類。読中、うっすらとした絶望という膜が身体を覆う『大きな鳥にさらわれないよう』

 作家の故・星新一が描いた未来(作品)は、現実味があり震えるものがあります。社会の運営を大きく精巧なコンピューターに任せる時代。それによって、さまざまな問題と混乱が収まり全てが順調になったある日、コンピューターが「カバを大切にし、大切にしない者は厳罰にせよ」という指示を出します。指示に従い、カバを崇める人類。その後、家畜の伝染病が流行する中、唯一、感染しないカバは正反対の扱いを受けることに…。「未来」というものに翻弄される人類を描く『星新一の作品集13 未来いそっぷ ちくはぐな未来』

 少子高齢化や人口減少を「静かなる有事」と捉え、日本の未来図を系列的かつ体系的に解き明かし、これから起こるであろうこととその対策を具体的に示した『未来の年表 2』。本書において、機会損失である通勤時間を短縮するため、不本意な退職、介護離職を減らすためにテレワークを拡大すべきだと述べていますが、今や別の側面から拡大が必要とされています。今後、どのような姿になるかは皆目見当もつきませんが、必要な情報収集・分析力を持ち合わせたいものです。 MCL編集部(そ)

三冊堂451(2020/05/07)