2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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 ほんの少し立ち止まって自分が抱え込んだ荷物を全部出して、中身を点検してみようー。著者の言葉に、今の自分は、余分な荷物を背負いすぎてはいないだろうかとハッとさせられます。極力無駄なものを削ぎ落として、本当に大切なものだけを厳選して持ち、かわいがろうと言う著者。平坦ではない人生の道のりを歩くには、背負う荷物は断然軽い方がいいです。『軽くなる生き方』を読むと、いつの間にか心がスッと軽くなっていくのを感じます。

 『持たない暮らし』とは、自ら選んで、生活をシンプルにするということ。今、私達を取り巻く環境は、ものや情報で溢れかえっています。しかしその一方で、日本の高齢化はどんどん進み、身の回りの始末をしていく必要性が高まっていることも事実です。「立つ鳥跡を濁さず」の言葉の通り、自身の身のまわりを見つめ直して、簡素な自分に近づけるよう心の準備をしておかねばならないと感じた著者のシンプルライフ。著者によると、シンプル=ものを捨てるということではなく、人やものを大切にして、その命を生かすことなのだそうです。身も心もシンプルに。けれど、心は自由に。忘れずにいたいと思います。

 「ものを持たない、買わないという生活は、いいですよ」、「欲や執着があると、それが弱みになって、人がつけこみやすくなる」、「求めすぎない。欲なんてきりなくあるんですから」…。全てにおいて、余分なものを持たない生き方。ものを大切にする考え。希林さんの言葉にはユーモアの中にも優しさと深みが感じられます。読むほどに心に沁みわたる希林さんの言葉をあつめた『一切なりゆき』。借り物ではない希林さんの言葉は、圧倒的な説得力を持って、私達に迫ってきます。 MCL編集部(ふ)

三冊堂418(2019/09/19)