2024年 (令和6年)
11月24日(日)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 先端技術者としての仕事に挫折した長嶺亨は、山小屋を営む父の訃報に接し、脱サラをして後を継ぐことを決意する。そんな亨の小屋を訪れるのは、ホームレスのゴロさん、自殺願望のOL、妻を亡くした老クライマー…。美しい自然に囲まれたその小屋には、悩める人々を再生する不思議な力があった。奥秩父の山小屋を舞台に描かれた『春を背負って』は、心癒される山岳小説です。

 冬を越えたあとに待つ春を、また思う。次の春も、また次の春も、おだやかな暖かい日が続くといい。厄災で断ち切られたもの、それでもまた巡り来るもの。喪失の悲しみと再生への祈りを描いた全7話が収録されています。明日が来ること、春が来ることに感謝し、日々を大切に生きることの大切さ、今を精一杯生きている人たちの想いが伝わる『また次の春へ』。つらく切ないだけでなく、一歩前へ進める。また次の春はやってくるのです。

 結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手の実家が営む和菓子屋にも顔を出し、知らず知らずのうち生活に溶け込んでいく。彼は何者で目的は何なのか。何気ない日常の中からある記憶が呼び起こされていく。今を精一杯生きる全ての人に贈るハートフルストーリーの『春、戻る』。読み終わった後には、春のような暖かさが体を包んでくれるのではないでしょうか。 MCL編集部(し)

三冊堂385 (2019/1/31)