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映写技師が主人公の「名画座の怪人」、荒野での対決を描く西部劇「ジェントリーズ・ジャンクションの決闘」…『ようこそ、映画館へ』という小説の中で内容が詳細に語られています。私たちはこの小説で映画の内容を知ることはできるのに、実際に観ることはできません…。この小説の中では11本のありそうで実際にはない映画が次々に登場します。
小川洋子とクラフト・エヴィング紹介の共著『注文の多い注文書』では、人体欠損視症治療薬(川端康成「たんぽぽ」)や肺に咲く睡蓮(ポリス・ヴィアン「うたかたの日々」)など、様々な小説に関する品物が登場し、実物の写真も掲載されています。ないはずのものがそこに「ある」、しかし存在はし「ない」。そんな不思議な世界が広がっています。
さて、ここで少し趣向を変えて…いつでも「ある」のに「ない」もの、そう「時間」。誰にでも平等に与えられているはずの時間はなぜ遅くなったり早くなったりするように感じるのでしょうか。脳の中に時計はあるのか、なぜ年を取ると時間の流れがはやくなるのかなど『脳の中の時間旅行』では心理学者である著者が様々な時間の謎を解き明かします。 MCL編集部(綾)
三冊堂299 (2017/06/08)