2024年 (令和6年)
7月17日(水)
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 いちごジャム、青梅の砂糖づけシロップ、トマトピューレー、塩ハム・・・。里の母親から受け継いだ洋風の保存食。そして、干したけのこ、梅干し、みそ、べったらづけ・・・。こちらは佐藤家の義母から教わったお国風の保存食。細部まで丁寧に説明された四季折々のレシピを見ていると、「これは、美味しい!!」と確信してしまう。両家の母の教えと、著者・佐藤雅子さんのたくさんの失敗と経験がつまった『私の保存食ノート』。レシピだけでなく、明治生まれの著者が受け継いできた食の文化と食にまつわるコラムも、非常に興味深く、読み物としても愉しめる。

 農家の方はとれた野菜や果物を美味しく長持ちさせる名人!!保存食や加工食品の作り方を全国の農家70人が手ほどきをしてくれる『農家が教える手づくり加工・保存の知恵と技』。北国では野菜がとれない冬にも楽しめるように、南国ではとれすぎた野菜や果物を無駄にしないように、漬物やジャムなどを作ってきた。そこには、自ら作った農産物と、地域と、家族に対する愛情がたっぷりとつまっている。こだわりのレシピを紹介する農家さんの笑顔はまぶしいほどに、ピカピカと輝いている。
 世界中のくさい食べものを食してきたコイズミ教授の『くさい食べもの大全』。発酵食品にはこの“くさい食べもの”がとても多い。とりわけチーズや漬物には、強烈な臭いの放つものがたくさんあるようだ。本書の面白いところは、くさい度数を5段階評価で表しているところ。著者が、地球上で最も強烈な臭いをもった食べものだと断言するスウェーデンの“シュール・ストレミング”。ニシンの発酵缶詰だというのだが、文句なしの5つ星以上。そのにおいはもはや強烈を越え、悶絶するほどのとてつもない超激烈な臭気なのだそう。本書は、ただくさい食べものを紹介するだけではなく、その国の食文化や民族文化についても触れている。食とは実に奥深いものであると、鼻をつまみながら読み進む。 MCL編集部(ふ)

三冊堂233号 (2016/03/03)