2024年 (令和6年)
5月14日(火)
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午前10:00から
午後 6:00まで

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 バイトを含めて社員4人の零細企業ユニバーサル広告社。不況にあえぐこの会社が始めたのは、閑古鳥の鳴く「さくら通り商店会」の活性化プロジェクトです。コンビニもないJR駅前から更に遠く離れた場所にある商店街。何もないと思いきや実は、家並みの美しい桜の並木の道につながっています。みたらし団子が絶品の菓子屋も、新しいケーキ店もあります。さて、ユニバーサル広告社が提案する、桜のない6月に行われるさくら祭りの企画は、この商店街を元気にしてくれるでしょうか?『花のさくら通り』は、 恋と笑いと事件がいっぱいの痛快まちづくり小説です。

 スキー場は撤退し、遊園地もつぶれ、観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。何もないので、空気が澄んでいることから企画した「獅子座流星群を見る会」は曇り空。ところが不思議な光が見えたような…。ツアーは不評でしたが、その後、町で見慣れぬ若者達の姿を見かけるようになりました。そこで、町を再生することで、自らの生き方にも活路を見出そうとする青年クラブの元若者たちはある策を仕掛けます。果たして、駒木野は「日本の四次元地帯」として再生するでしょうか?『ロズウェルなんか知らない』は、こんなことして大丈夫?と、ハラハラ・ドキドキのエンターテイメント小説です。
 合併した村の元村長、元助役、郵便局長、キクエ小母さん。古ダヌキのような4人の老人たちは、集会所に集まっては、日ながら一日茶のみ話。山深いこの村では、ほかに姿を見せるのは4つ足ばかりです。しかし、過去には村おこしアーティストの作った気球らしきものが時代のブームに乗ったり、温泉施設の建設などで村が儲かったこともありました。4人の老人たちが過去を懐かしんでいると、珍客たちが次々に現れ小さな騒動が起こります。やがて、4人は、たぬきのアイドルユニットTKN48の引退式を盛り上げるために皆でお台場のアイドルフェスに乗り込むことにします。『四人組がいた。』は、分厚く重厚な作品の多い著者の、かなりくだけたユーモア小説のように見えますが・・・。 MCL編集部(紀)

三冊堂224号 (2015/12/31)