女子高生・リョウは携帯電話を持っていない。そんなリョウの楽しみは、空想の携帯電話をイメージすること。ある日、頭の中で空想の携帯電話が鳴りだす。相手は1歳年上のシンヤ。彼もリョウと同じ孤独を感じていた。短編集の中に収録されている『きみにしかきこえない Calling you』は、頭の中の携帯電話で孤独だった2人が繋がる物語です。インターネットの普及で、他者との繋がりが簡単になったからこそ出てくる悩みもあります。リョウは、人の言葉によって傷つき、殻に閉じこもるようになります。しかし、人の言葉によって喜びを感じ、心を解放していくのです。何気なく発する言葉で相手を傷つけることも喜びを与えることもできるんだなと改めて考えさせられます。
「もしもし わたしです きこえる?あのね…」今日あった出来事を電話でお話している女の子。今は懐かしい緑のダイヤル式の電話の線が、お話の内容と一緒に繋がっていきます。そして、電話の線の先の女の子の電話のお相手は…。今日の出来事が誰かに話さずにはいられないほど楽しかったんだなとほっこりします。子どもの頃に誰もがやったであろう電話ごっこを思い出させてくれる絵本『でんわでおはなし』。
ご自分の声は好きですか?自分で話している声と、ビデオなどで録音した声を聞くと、「こんな声じゃない!」と驚きます。それは、骨などを伝わる「骨導音」と空気を伝わる「気導音」の違いなのだそう。顔や身体は意識して、化粧や筋トレなど努力をするのに、声に対して何もしないのはなぜでしょう?「声は変えようがないな」と思っている方も多いのではないでしょうか。声は、ちょっとしたトレーニングで変わります。そのためにもまず、自分の声=自分自身と向き合うことが大事なのです。『8割の人は自分の声が嫌い』は、今まであまり意識してこなかった声の知識が詰まった1冊です。 MCL編集部(知)
三冊堂211号 (2015/10/01)