2024年 (令和6年)
5月9日(木)
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 無職宿ナシの亀谷幸慈は、ある日、ギャルにカツアゲされていた青年を助け出す。青年はどうやら記憶喪失で、「自分は元・天使で、さっきのギャルは悪魔」であると話す。関わらずに去ろうとしたが、やむにやまれぬ事件が起き、行動をともにすることになる。翌日二人は、池袋の街角で園部シメ子と名乗る女性に声をかけられ、成りゆきで彼女の家『猫の森』を訪れる。そこには坊主頭の大男マロ、ぽっちゃり眼鏡のオク、色白イケメンのミチヤが同居しており、6人による不思議な共同生活が始まる『今日からは、愛のひと』。人を愛する、誰かのために自分には何ができるのか、ということが、とても尊いことだと思わせる一冊です。

 家庭も省みず仕事に生きる49歳、バリバリの広告代理店の営業部長が、急に物忘れがひどくなり、重要なアポを忘れる、同じものばかり何回も何回も買って帰る…おかしいと思ってついに医者に行くと、「アルツハイマー」であると診断をされる。知らないうちに自分の体内で起こっていた受け止めがたい現実に直面した彼だが、妻の献身的な支えに一緒に病と闘うことを決心する。『明日の記憶』は、記憶が薄れていく自分が、家族、妻、そして自分に何を残せるか?大切な人のためにどうしたらよいのか?考えさせられる一冊です。
 母親の干渉を嫌い田舎から上京し、学園闘争真っ只中の大学に入学した「僕」。受験勉強の他に何も知らない「僕」が、いつの間にかセクトの争いや内ゲバに巻き込まれ、年上の女子学生・レイ子と暮らすことになる…。どうしても学生運動に夢中になれない「僕」は、相手に振り回され、何とか主導権を握ろうとする恋愛もうまくいかず、自立した自己を獲得するためにもがいていく。やりきれない虚脱感、自分のふがいなさに対する怒りといらだち、ぶざまな自分の姿、結局、『僕って何』? MCL編集部(敬昌)

三冊堂208号 (2015/09/10)