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友人に誘われネパールを訪れた作家のよしもとばなな。これをきっかけにネパールの宗教指導者ダライ・ラマ14世と会いたいと思うようになり、そして実現した日本での2人の対談。人間には本能的に自分にとって重くなる、負担のある、違和感のあるものを避けようとする傾向があり、それを発散するために責任をともなわない「小さないじわる」をしてしまうという、よしもとばなな。苦しい経験の中でこそ、感情的にならず現実を直視し、観察し分析することが大切だと説くダライ・ラマ14世。小説家と宗教家が人生について語り尽くす『小さないじわるを消すだけで』。
7月の蒸し暑い午後、営業成績の締切間際で慌ただしい生命保険会社から、頑張る社員への差し入れのお菓子を東京駅へ買いに出かけるOL。そしてそれぞれが全く別の事情を抱えながら同じく東京駅へと向かう26人と1匹。何のつながりもなかった登場人物達だが、ある人物の行動がほかの人に影響を与えて連鎖していく。そして全人物の小さな物語が影響しあって思いもよらぬ事態に・・・。ささいなことが繋がり大きな事件へと発展するエンタテイメント小説『ドミノ』。
童謡「ぞうさん」で知られる作詩家まど・みちお。100歳を超えても詩人として活躍した彼の言葉を紹介する『どんな小さなものでもみつめていると宇宙につながっている』。アリや花などのなんでもないものの中に驚きを感じることが、誌を書く心だという。意識的に飾ってきれいにしたりという不純さが出てくると良いものはできないとともいう。作詩と人生において何気ない日常の中の小さな出来事をじっと見つめること、大切にすることの重要さを教えてくれます。 MCL編集部(ちか)
三冊堂206号 (2015/08/27)