2024年 (令和6年)
5月7日(火)
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 社会学者の小熊英二が、上野千鶴子、東浩紀、木村草太など11人の相手と向き合い、真剣にその思想・活動について対談する『真剣に話しましょう』。あとがきに、”対談は、論文とちがって、「生もの」である。応答のなかで生まれる緊張感と即興感が長所である。内容そのものは、時事的なものであり、いずれは古くなる。”と書かれているように、そのやり取りは臨場感があり引き込まれていきます。日本国憲法制定後の国民の憲法に対する意識についても触れられているので、今だからこそ読んでおきたい一冊。

 ”戦争みたいなひどいことを起こさないって決めて、国の主権は国民にあることを、声を大にしていうぜ。それがこの憲法だ。”日本国憲法を今風に口語訳するとこのようになるそうです。憲法を知って得をすることはあっても損はすることはないと著者が本文で述べているように、まずは、憲法を知る入口として眺めてみては。『日本国憲法を口語訳してみたら』。
 現憲法は、憲法改正草案を準備する際、ひらがな口語体によってなされたのだとか。極秘のうちに進められた口語化作業は、憲法の口語化運動に熱心に取り組んだ作家・山本有三に依頼されたそうです。山本有三の名作『路傍の石』は、貧しさゆえに幼くして奉公に出された主人公・吾一が、さまざまな試練を乗り越え成長していく物語。当時の時代の潮流から連載中止に追い込まれ未完のまま終わりましたが、今なお心を揺さぶる作品です。 MCL編集部 (そ)

三冊堂189号 (2015/04/30)