2024年 (令和6年)
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 国土が狭く、資源に乏しいながらも経済大国としての地位を築いてきた日本。その原動力は世界に誇る技術力です。今回は日本の技術、ものづくりへのこだわりを描いた3冊を紹介します。
 本を読むことで工場見学してみようというのが、『日本のすごいモノづくり』。ある製品が完成するまでを豊富な写真とともに紹介しています。製造の注目ポイントや解説教授の視点などの小コラムなどもあり、人に話したくなるような豆知識も満載です。

 ものを安く作るためには、海外の労働賃金の低い国に工場を建てて生産する、今の日本の製造業はそのような流れになっています。しかし、本当に性能の良い製品、高付加価値のものというのは、コストが高くても日本国内で作られ、そして国内外を問わず売れています。『奇跡のモノづくり』は、そんな良いものを作るというこだわりを持って仕事をする技術者を紹介しています。世界で「ソイ・ソース」と呼ばれる調味料「醤油」や、光学技術を用いたプラネタリウムなど、日本が世界に誇る製品は、技術者の最高のものを作るという仕事観、人生哲学によるものだとわかります。
 2016年3月に開業が予定されている北海道新幹線ですが、その新幹線の誕生エピソードを描いたのが『新幹線を航空機に変えた男たち』。遠距離を高速移動できる乗り物として、鉄道は航空機に負けると言われていた時代、その逆風を跳ね返したのが、「夢の超特急」と呼ばれた新幹線。地上を走る鉄道と空を飛ぶ航空機、この対極にあるような乗り物ですが、実は新幹線は高速化を実現するために航空機の設計担当者が加わるなど、航空機を強く意識した造りになっています。速さの追及から快適性重視へと、新幹線の進化の歴史も描かれています。 MCL編集部 (ちか)

三冊堂182号 (2015/03/12)