2人の性格と関係性を比べてみると見えてくる。絵本の世界から友達関係、3つの物語。まずは『あらしのよるに』から。主人公は〝おおかみ″と〝ヤギ″。『おおかみと7匹の子やぎ』を思い浮かべるとわかることですが、2人は友達にはなれない間柄。ただ、2人の出会いは特別でした。出会ったのは、あらしを避けるための、まっくらな小屋の中。相手が天敵であり、ごちそうであるとは知らなかったのです。「お互い話が合うね~、明日もお会いしませんか?」なんて気さくに仲良くなった2人でしたが、シリーズ6編を通して、友情の深さがためされる数々の試練が訪れます。もしもあなただったらどうしますか?読後に教えてください。「食べたいけど、友達だから」と欲望を抑えるオオカミさんが健気。
『トゥートとパドル』。旅行大好き!好奇心旺盛なトゥートと、おうち大好き!自分の住む町が一番のパドル。性格も趣味も正反対な2人だけど、一緒になかよく暮らしています。「この本は、あなたが好きな人と、とてもなかよしでいることと、いつも自分らしくいることを、両方、同時にするための物語です」という表紙の紹介文のとおり、2人の生活は個性を尊重する時代のお手本。まるで夫婦のような関係にも見えます。夫婦の根っこには、こんな友情があるのかも。
『ムーミンのともだち』。ムーミンはスナフキンにとって特別な友達。孤独を愛しているなら友達なんて必要なさそうなのに・・・なぜ?その答えはスナフキンがつくったこのうたのなかに。「ぼくの ともだち すてきな ともだち いつも いっしょじゃ ないけれど あわないときが あるけれど そんなときこそ おもいだす とおいときこそ ちかくなる ひとりで いるから わかるんだ」 MCL編集部(Yo)
三冊堂142号 (2014/06/05)